中古住宅のリノベーション知識

2024年11月19日

代表中村の建築コラム

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知っていると安心 中古住宅のリノベーション知識

《もくじ》

○中古物件を購入しリノベーションされる際のご予算の考え方
○リノベーションプランの種類|仕上げ材の上張り・貼りかえ
○リノベーションプランの種類|スケルトンリノベーション
○工法別の間取り変更難易度について
○屋根・外壁・サッシ(窓)の工事について

○中古物件を購入しリノベーションされる際のご予算の考え方

こんにちは。 滋賀のはんべ工務店 代表の中村です。

リノベーション工事には、既存のお住まいやご実家をリノベーションされる方と新たに中古物件を購入しリノベーションされる方がおられます。

今回は、中古物件を購入してリノベーション工事をする場合の予算の考え方についてご紹介したいと思います。

中古物件を見つける目安

中古物件を探す場合、一般的にはエリアやアクセスの良さ、学区や立地等に加え、金額が主な条件になってくると思います。

併せてリノベーション工事をお考えの場合、中古物件の建物の工法、状態、間取りは様々であるため、ご希望されるプランに対する工事の仕様や工事費用は、購入される建物によって大きく変わってきます。

そのため、中古物件費とリノベーション工事費との合算がご予算内であることがのぞまれますので、購入される前にリノベーション費用を把握されておかれることをおすすめします。

リノベーション工事費の見積りには、まずご希望をお伺いした上でその物件に合ったリノベーションプランを作成しますので、正確な概算工事費を把握するために時間が少し必要となります。

はんべ工務店では、お客様からご希望をお聞かせいただき現地を拝見した上で、購入前の中古物件のリノベーション工事の概算お見積りを無料で作成するサービスを行なっています。お問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。

 

(2024.9.12)

○リノベーションプランの種類

リノベーション工事では様々なプランからご希望の内容を選択していくことができます。
リノベーションプランには購入する建物の工法や状態により条件や制約が発生することもあります。

仕上げ材の上張り・貼りかえ

部屋の間取りはそのままに床・壁・天井仕上げを新しく施工します。条件や制約がほとんどないプランです。総じてリノベーション工事として安価になります。

○床
既存の床がフローリングの場合、新しいフローリングや無垢の床板を上張りできます。この場合、新しいフローリングの厚みの分床が高くなりますので、開きドア等が干渉する場合がありますが、ドアの下部をカットしたりすることで解決できます。

既存の床がクッションフロアの場合、既存のクッションフロアをめくってから新しいクッションフロアや無垢床板・フローリングなどを張ります。比較的安価です。

既存の床が畳の場合、畳仕上げのプランでは畳表だけを交換することもできます。一番安価です。
畳からフローリングにするプランでは、廊下や他の部屋の床の高さと揃えるために新しく根太とコンパネを施工してからフローリングや無垢床板を張ります。この場合、根太の間に断熱材を新しくいれることが容易です。比較的安価です。


○壁
既存の壁がクロス貼りの場合、下地はそのままで既存のクロスをはがしてクロスの貼りかえができます。一番安価です。クロスの種類や接着剤は天然成分で作られたものも選択できます。

和室の壁のように塗り壁の場合、現状の状態の劣化が激しくなければそのまま新しい珪藻土等の塗り壁を上塗り施工することができます。比較的安価です。

無垢板を張る場合、下地のやり替えが必要です。

既存建物の現状により、下地(石膏ボード等)の劣化が激しい箇所は下地補修が必要です。


○天井
既存の天井がクロス貼りの場合、下地はそのままでクロスの貼りかえができます。一番安価です。

和室天井のように現状がクロスでない場合、現状の仕上げにベニアを上張りする等の下地工事が必要になりますが、比較的安価です。クロスの種類や接着剤は天然成分で作られたものも選択できます。

自然素材をご希望の場合、珪藻土塗りも可能です。無垢材張りの場合は、下地のやり替えが必要です。

既存建物の現状により、下地(石膏ボード等)の劣化が激しい箇所は下地補修が必要です。



(2024.9.15)

○スケルトンリノベーション

既存の床・壁・天井を撤去して、構造部分をあらわしにしてからおこなうのがスケルトンリノベーションです。スケルトンにするプランは、仕上げ材の上張り・貼りかえと比較すると大幅にコストがUPします。仕上げ材、下地材(石膏ボード等)の撤去・処分工事や照明器具、エアコン、コンセント・スイッチ等の電気設備の撤去・脱着工事も必要になります。工期も長くなります。

それでもスケルトンにするプランの主な目的やメリットは次の通りです。

スケルトンリノベーション解体

スケルトンにするプランの主な目的・メリット

・大幅な間取りの変更が可能になる
・構造部分で劣化している箇所の発見と補修をおこなうことができる
・耐震補強等、建物の強度を高める工事が容易
・断熱材の入れ替えをして断熱性能をアップできる
・必要に応じて構造材を入れ替えをすることで耐久性をあげることができる

床・壁・天井に対するメリット

 

○床(床組)
☆床下の防湿対策(防湿コンクリート等)が施工できる
☆ダメージのある箇所の補修・補強工事も可能
☆新しい床組の材料や工法で、床の耐久性能がアップする
☆水道やガス管の配管のチェックや施工が容易に

床下が土(布基礎)の場合、湿気が多くて床組(大引・根太・コンパネ)が劣化していることが多いです。程度にもよりますが、既存の床仕上げと共に床組を撤去してやり替えが望ましい場合があります。


○壁
☆木造(軸組在来工法)の場合は、筋交いや耐震金物の施工が容易になります
☆電気設備の配線を露出なしで施工できます


○天井
☆電気設備の配線を露出なしで施工できます
☆雨漏りの発見が容易になります



(2024.9.24)

○工法別の間取り変更難易度について

間取り変更

リノベーション工事で間取りの変更をする場合、建物の工法によって難易度が大きく異なります。間取り変更には、床・壁・天井の撤去(スケルトン)が前提となります。

木造(軸組在来工法)

中古物件で多く出回っている日本で昔から建てられてきた工法です。
柱と梁によって建物を支えている構造のため、間取り変更については一番容易で自由度が高いといえます。

筋交い(すじかい)が入っていない壁やドア・引き戸等の開口部を撤去してもほとんど強度に影響しませんので、現状のプランに対しては空間を広げやすいといえます。(*適宜、補強工事を行ないます)

筋交いや柱(通し柱を除く)の移動も適切な補強工事をすれば可能です。柱・梁や土台・基礎の構造部補強の範囲に応じてコストはアップします。

軽量鉄骨(プレハブ工法)・2×4(ツーバイフォー)工法

主に大手ハウスメーカー等が手掛けている建物の工法です。
間取りの変更については難易度が高いです。強度を必要とする壁以外の壁については撤去が可能ですが、間取り変更のプラン内容としては限られた内容になってくるかと思います。



(2024.10.23)

○屋根・外壁・サッシ(窓)の工事について

サッシ・外壁・屋根リノベーション工事

屋根

屋根の仕上げ材には、大別して瓦とカラーベスト(スレート等)があります。

○瓦

瓦は劣化等の状況により、部分的な差し替えや締め直し等の補修と瓦の葺き替えがあります。
前者は比較的安価ですが、葺き替えの場合は既存瓦の撤去処分費用も必要となり、高額になる場合が多いです。

○カラーベスト

カラーベストは劣化等の状況により以下の3つの工法があります。

1.塗装
既存の屋根仕上げに上塗り塗装をします。比較的安価ですが、耐久性はあまり期待できません。

2.ガルバリウム鋼板カバー工法
既存の屋根仕上げの上からガルバリウム鋼板を葺く工法です。1.塗装より高額ですが、耐久性には優れているので長期的に居住する前提であれば合理的であるといえます。
*既存の屋根仕上げが瓦等の場合は不可の場合があります。

3.葺き替え
葺き替えは、既存の屋根仕上げを撤去して新たにカラーベスト(他)等を葺く工法です。既存のカラーベストを撤去処分する費用が必要となり一番高額になります。

外壁

外壁の仕上げ材には、大別してモルタル等の塗り壁とサイディング張りがあります。
よほど劣化等が著しい場合を除き、塗装上塗りが一般的です。足場工事が必要となります。

サッシ(窓)

サッシ(窓)の入れ替えや取り付け位置の変更・増減がある場合は、外壁の補修工事も必要になります。
また、上記の目的以外で断熱性能を高める等の目的であれば、内窓(二重窓)や断熱サッシのカバー工法があります。



(2024.11.19)

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